カイロを後にし、地中海沿いの街、アレクサンドリアへ。
(写真はカイロのラムセス駅)
まず訪れたのは、ずっと見たかった新アレクサンドリア図書館。
内部に入ると、天井から落ちてくる柔らかな光に驚かされます。
北向きに傾けられた開口部から取り込まれる自然光。
本を守りながら、人に優しい光を届ける設計です。
空間は大きいのに、どこか静かで落ち着いていて、
「学ぶ」という行為そのものが尊重されているようでした。
この建築は単なる図書館ではなく、
かつて世界最大の知の中心だった「アレクサンドリア図書館」の再生です。
外壁に刻まれた世界中の文字は、人類の知の集積を象徴し、
建築そのものが「記憶装置」として存在していました。
設計はノルウェーの建築家集団、スノヘッタ。
自然光や環境への配慮など、今でこそ当たり前になりつつある思想を、当時から丁寧に形にしていたことにも驚かされます。
海と歴史の境界ファロスの灯台跡地に建つカーイト・ベイの要塞へ。
この地中海の下には、今もファロスの大灯台の遺跡が静かに眠っているといわれています。
波の向こうに、見えない時間が積み重なっている。
そんな感覚が、とても印象的でした。
アレクサンドリアで1泊した後、カイロ ハンハリーリ市場へ。
ちょうどラマダンの時期で、日没後のイフタールの時間。
現地の方に「一緒に食べよう」と声をかけてもらい、同じテーブルで食事をごちそうになりました。
言葉は多くなくても、その場の空気と笑顔で十分に伝わるものがある。
ただただ、感謝です。
エジプトを後にし、カタールへI.M.ペイ設計のイスラム美術館
ジャン・ヌーヴェル設計のデザートローズ
駆け足ではありましたが、現代建築のもう一つの到達点を垣間見ることができました。
最後に
インドでの現地調査、そしてエジプト・中東への旅から、気づけばもう2か月が経ちました。
その間に、世界は大きく変わりました。
中東の情勢は、決して遠くの出来事ではありません。
建築は、平和な時間の中で積み重ねられていくもの。
そして同時に、その土地の記憶を受け止め続ける存在でもあります。
だからこそ、建築が穏やかな時間の中で積み重ねられる世界であってほしいと、願います。